オヤジとオレ

朝からオカンに起こされて「一番高いマグロと見栄えがめでたそうな割り箸買ってきてちょーだい」と頼まれた。今日は姉の婚約者一家(婚約者、その母、その妹二人)がわざわざ北海道から挨拶に来る日だったのだ。うちの姉とオヤジは既に羽田まで迎えに行ってた。
オカンは緊張の余りテンパってて「化粧してないからあんたやっといて」とオレに調理を依託した。まあ仕込みが済んだ状態のグラタンだの揚げ出し豆腐なので問題はない。
そうこうしてる間に客人を引き連れたオヤジが帰ってきた。姉と義兄は指輪を買うんだとかで途中で降ろしてきたらしい。
ここからオヤジ劇場が始まる。オヤジは他人に対してはあり得ないほどよく喋る。特に若い娘さん相手には調子こきまくるので見てて軽く引く。一番下の妹さん*1が食いつきもよく、お気に入りのようだ。夜に姉らと合流し、中華街へ行き、食事をとる。酒を入れたオヤジは誰にも止められない。てゆーか面倒なので止めない。たまに義兄が話を振ったり笑いをとったりすのがオヤジ的には許せないらしく、「あー?長男が何を言うかね・・」と訳のわからないインネンをつけてくる。別に「うちの娘をこんな男にー」みたいな理由でなく、常に自分が話題の中心じゃないと嫌なのだ。オレにもこの気質はあるけどオヤジの方があからさまだろう。むこうのお母さんも笑い上戸なのでゲラゲラ笑ってる、もはや喋った者勝ちの無法地帯だ。
店を出て、お土産を物色してるとオヤジが既に閉店した店のドアをバンバン叩きだした。しばらくして「これ中華街で一番うまいやつだから」と大量のマンゴープリンとココナッツミルクを一番下の妹さんに手渡した。見かねたうちの姉が「随分扱いが違うじゃないの」と皮肉をこめると、「バカヤロー、末っ子っていうのは常に苦労してんだ。こういう時くらい云々・・」と語り出した。「俺の子供の頃のおやつといえば兄貴が食い終わったトウモロコシの芯だった」など疑わしい思い出話を延々とだ。むこうのお母さんも「そいや○○(一番下の妹さん)も私がゴミ箱から拾ってきたんだもんねー」と被せてくる。うちのオカンも「この子(オレ)もある日洗濯機の中に入ってた」などと被せ合い*2
最終的にオレと妹さんに向かってオヤジが「な?」と何故か得意顔、続けて「我々3人は末っ子同盟を組織しました!」と高らかに宣誓。実の父親と勝手に同盟を組まされた息子の身にもなってくれ。

*1:それでもオレの5個上

*2:昔オカンが冗談で言ってたが、当時のオレは普通に信じてた